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アツヲに訊け!スーパー ![20]
     
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ネットだけで読める「アツヲに訊け」の拡大版!
その名も「アツヲに訊けスーパー!」
でももちろんアツヲにだって解決できないこともあるよ!
今日はそんな日!


 
毎日の家事にイライラします。なんで女ばかりがしなきゃいけないんですか?
ようりん(36歳・女)


 世の中には男が多くの家事を担う家庭も少なくはない。「女ばかりが」という表現が的を得ているかはさておき、もし混乱してとてもこなせないようの量なら、しばらく外食で済ませるなりハウスクリーニングを頼むなり、一度は戦線から大きく距離を取ることも重要だ。

 日本人はなにか自分に手に負えない問題が起こったとき「一所懸命」の精神からだろうか、その渦中のど真ん中で考えるクセがあるように思う。いじめられても休まず学校に行ってみたり、家族仲が悪い時期に無理に一緒に住んでみたりしたところで、自殺やDVの悲劇が増えるだけだ。戦いの基本は「アウトオブレンジ」。つまり相手の攻撃が届かない場所からこちらの攻撃を落ち着いて正確に加えることで有利な状況を作り出せる。何かを解決しようとしたときに問題の射程圏内にいてはダメなんだ。散乱した部屋をそのままにしてでも、まず近所のカフェに一時避難してコーヒーの一杯でも飲んできたらいい。

 そうだ、今日はレヴィ=ストロースの話をしよう。正式な名前はクロード・レヴィ=ストロースという。彼はフランスの民族学者で、オレたちの暮らしが近代化されていくなか、現代人こそ野生の感性を忘れてはならないと説いた人物だ。

 彼は今から何十年も前に情報が溢れる社会の到来を予見しており、そこで人類が森で暮らしていた頃のような野生の嗅覚を失うようなことがあれば、簡単に情報に翻弄されてしまうという危機感を持っていた。まるでインターネットの普及とその社会的な問題点を突いているようじゃないか。当時、経済成長により人々の生活スタイルが大きく変わっていくなかで、日本の思想界にも大きな影響をえただけでなく、著書「野生の思考」などにより一般にも広く親しまれた。

 2009年に100歳で亡くなってしまったレヴィ=ストロースは1977年に学会に招かれて初来日した。そのとき各地をフィールドワークして歩いたことをきっかけに日本に大変な興味を持って、以来何度も来日を重ねる親日家となった。

 その時代はまだ多くの民家を地元の大工が建てており、職人の文化が日本人の暮らしに息づいていた。陶磁器や織物、竹細工などの民藝も盛んで、彼はこれらの作業現場を大変興味深く見つめていたという。そこでフランス語で「労働」を表す「travail(トラヴァイユ)」という単語が日本の労働に限っては翻訳として正しく当てはまらないことに気がついたんだ。

 一神教の文化を持つ西洋では、労働は原罪を償うための苦役や天国に行くための修行という考えが根底にあり、日々の仕事は生きるために自分を殺して仕方なくするもの、という意識が強かった。それに対して彼が日本で見た職人たちはみな、仕事そのものに価値を見出し、文字通り寝食を忘れて作業に取り組んでいた。

 さらに石や木をムリヤリ人間にとって利益あるものに作りかえてしまう西洋に対して、自然の命を保ったまま手を入れる部分を極力減らして美しい形の道具や家具を作り出していることも知った。

 少ない労力で美しいものを生み出す、という特徴は料理にも通じる。鍋の中で全てを一緒に煮込んでしまう西洋とは違い、日本料理は魚は魚、野菜は野菜というように分けて配置され、口に入れる直前まで食材が生きていたときの姿が見えるようにデザインされているということにも気がついた。ここでも加工は最小限というわけだ。

 遠いフランスから来たレヴィ=ストロースの目を通して見た日本観にはたくさん学べる点があるとオレは思っている。

 いや、思っていた。

 「本来、料理の楽しさや掃除の達成感は人間の野生の部分を刺激してくれるものだ」と、今日はそんな感じに締めくくろうと思っていたが、レヴィ=ストロースが日本を巡っていた時代と、現代では家庭の事情が大きく違っていることに、たったいま気がついた。よく考えてみれば、あの時代の職人がみな自分の仕事を抱えながら、同時に育児や家事を完璧にこなしていたとも思えない。

 どうやら日本の家庭事情の歪みはフランス現代思想をもってしても簡単には解決できないらしい。

 ようりんが悩むパートナーとの家事の比率が10対0なのか6対4なのかはわからないが、きっちりと半分に分かれる日も永遠に来ないと思うので比率をイライラに繋げてしまわないほうが良い。それでも家事に関する交渉を持ちかける場合は、結果的に状況が変わらないことも念頭に入れて休戦のタイミングをきっちり決めておくことだ。交渉というのは、平行線でラッキー、少しでも前進すれば大ラッキーくらいに考え、辛抱強くチャンスを待ち続けよう。

 家事は余裕をもってこなせる量なら楽しいのだが、仕事や育児などが複合的に絡み合うと、とたんに大変になるんだよなぁー。とにかくひと休みしようぜ。


 
 
 
 
 
 

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by hoo-ja986 | 2017-02-08 20:56 | アツヲ@営業部 | Comments(0)
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