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アツヲに訊け!スーパー![57]
   
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いつか何かの役にたつ「アツヲに訊け!」のスペシャル版!
「アツヲに訊け!スーパー!」第57回!
全てが平等に運営される理不尽のない世界など存在しない。
世界は不公平で満ちており、助けを求める民で溢れている!
そう、だからつまり「アツヲに訊け」のない世界もまた存在しないのだ!



 
どうして真面目に頑張っている人が馬鹿を見るのか、不公平だなあと感じることが日常生活においてたくさんあります。どうしたらストレスを感じずラクになるのかお聞きしたいです。
おきみ(28歳・女)


 ストレスを消すために効果的なもの、それはもっとキツい別のストレスである。そういう意味で怒りや不快感というのは精神衛生上とても良いものだ。過去の絶望をいとも簡単に消し去ってしまう。劇薬とも言えるが日にち薬にまかせているとこの即効性は味わえない。

 おきみにはジョセフ・ヘラーの小説「キャッチ-22」を勧める。ネットに多数のレビューや考察が散らばっているのでストーリーは各自調べてくれたまえ。発表時に世間にかなり大きな影響を与えたようで(当時アメリカ人は今よりずっと本を読んでいた)、このタイトルは「わけがわからないくらいに混沌としている状況」を指すスラングとしても定着した。従うルールそのものに矛盾がある場合、そのルールに身を委ねることはできない。自分で考えて、自分だけの規範で行動を始める主人公たち。1961年の小説だから「キャッチ-22」というスラングは現在は死語になっているかもしれない。しかし人類史の開始以来、世界は常に「キャッチ-22的状況」である。人類が(全体としても個人としても)発展をする場合、必ず誰か(人間だけとは限らない。例えば自然環境など)の犠牲が必要になる。一見まともな規範も駆動原理はなかなかにグロテスクなものだ。人類はそのグロテスクさを美しいベールで隠し、砂糖で味付けをして酸味の添加物で爽やかに後味を切り、インスタ映えさせて他人に美味しく食べさせる技術を磨いてきた。

 不公平を感じる相手を正義の鉄槌によりそこから引きずり下ろしたところで、間をおかずその席には誰かが座る。それがおきみではないという保証はないのだ。一つの軸線上に立って誰かを見てしまうと、必ず前後(または上下)の関係が成立してしまう。だから誰かを見て不公平だと思う時は、自分もその不公平により利益を得ているている時だ。不公平感というのは他人が作ったルールに全体重を預けてしまった時に必ずつきまとう代償だ。

 主人公が上官にブン殴られる瞬間から物語がスタートする、大平昇平の「野火」もいいぞ。どちらも第二次世界大戦の中で人が狂気に支配されてゆく作品(そして偶然どちらも小さな島が舞台となっている、閉鎖的な環境というのは容易に人を狂わせてしまうのかもしれない)であり、内容は正直に言ってかなりキツい。だがこのキツさがおきみを救う。

猛暑と水害に翻弄されたストレスフルな夏の終わりに。そして次の世界大戦を経験せずに終わろうとしている平成最後の夏の終わりに、この夏の完璧なものとするために必要な2冊だ。




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by hoo-ja986 | 2018-08-22 18:36 | アツヲ@営業部
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